井の頭歯科

「JUNK HEAD」を観ました

2022年9月16日 (金) 08:48

 

 

堀貴秀監督     ギャガ     DVD(友人宅シアター)

 

 

年下で話が通じる友人宅に、その同期の友人と3名で昼から映画鑑賞会をする事になりました。友人厳選の驚きに満ちた映画の2本立てです。その1本目(その前にもいろいろ動画作品を観たのですが、その時に友人の作画の指摘、そして後に何故作画レベルが落ちたのか?の伏線回収もあって忘れられない出来事があったのですが、それはまた別の話し)に鑑賞したのが、この「JUNK HEAD」です。この2本立てのテーマは『狂気』です。ホームシアター、うらやましいです。

ストップモーションアニメは恐ろしく手間のかかる映像制作になります。1コマ1コマを少し動かしながら、1秒を12枚~24枚の写真を撮っていき、パラパラ漫画のようにして動かす映像です。とんでもないほど手間がかかりますが、しかし、この手法でしか伝えられない、愛らしさと、ぬくもりに満ちた映像体験があります。

そんなめちゃくちゃ手間のかかる作品を、1人で、7年かけて、製作した、というから驚きとともにある種の狂気を感じさせる作品であるという事はご理解いただけるかと思います。純粋に1名ではなく、途中からスタッフが数名ついているようです。ですが、ほぼ全てのアイディア、構成、演出、世界観、どれもが非常に風呂敷として大きくて、スケールの大きさを考えても、狂気と言えると思います。

人類は人体改造を繰り返し、不老不死を手に入れましたが、生殖能力を失ってしまった遠い未来。その過程で人工生命を生み出していて、その生物が地球の地下世界を支配している状況に、謎のウイルスにより人類が激減。かつての人工生命から生殖能力の可能性を見つける為に、地下世界に旅立つ1人の男が・・・というのが冒頭です。

まず、非常にスケールの大きな世界観、地上もですけれど、地下世界の複雑怪奇でキッチュで独特な美術や造形含めてアート性の高い、その世界観にクラクラします。しかも人工生命の気持悪い+カワイイというオリジナリティが高い上にディストピア世界であるのも個人的に好みです。

動きもストップモーションアニメーションならではの可愛らしく温かみのある部分と、ちょっと想像を絶する広大さや、異常に細かな動きの再現が同居していて、本当に才能を感じますし、仕事を貫徹させる上の忍耐力を考えると、本当に狂気の沙汰だと思います。

すべてにおいて、オリジナリティ高いか?と聞かれれば、もちろんそんなことは無くて、様々な先駆者への尊敬に溢れた描写があるのですが、この尊敬、愛が感じられるからこその、謙虚さを感じるわけです。独りよがりではない、という事のバランスは本当に素敵です。

造形的にはみんな大好きなアレクサンドル・フランシス・ジュリアンの3人組が特に好きになりましたし、動きで笑わせてくれるの最高です。

そしてあの『クリコ』の育成含めて本当にどうしてこんな事考え付くのか?不思議で恐ろしいですし、エレベーターボーイならぬバイカーのカッコよさ、マリガン(あえて説明しません)の不気味さも最高です。

歌と曲もサイコーですし、言語もたまりません。もう大好き。

3部作の第1作という事ですし、是非完成させて欲しいです。

 

ピングー、ウォレスとグルミット等のストップモーションアニメが好きな方に、オススメ致します。

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