井の頭歯科

「サッド・ヒルを掘り返せ」を観ました

2022年9月20日 (火) 08:54

 

 

ギレルモ・デ・オリベイラ監督     スターチャンネル     DVD(友人宅シアター)
『狂気』2本立ての2本目は、こちらです。めちゃくちゃ有名なセルジオ・レオーネ監督の傑作、マカロニウェスタンの頂点とも言える「続・夕日のガンマン」のラストに登場するある墓場についてのドキュメンタリーです。
私は幼少期に育った家庭では、浴びるように西部劇を観てきました。およそジョン・ウェインが主演するものばかりだったと記憶していますし、まぁジョン・ウェイン以外の西部劇もかなりの本数観ている方だと思います。はっきり覚えているものもあれば、うる覚えのモノもありますが、そういう趣味趣向を持つ人物と同居していたとお考えください。そしてこの人物は、西部劇とは、アメリカのモノであり、マカロニウェスタンと言うモノは西部劇では無い、と言い切る人物でした。勧善懲悪で何が悪い、明快でいいじゃないか。カウボーイの仕事は名誉とか誇りによる仕事なんだ。というアメリカプロパガンダを肯定的に捉える人物です。そして、こういう過程環境で育った場合は2種類の結末が用意されていて、素直に西部劇にはまるパターンと、ひねくれた性格の為に忌避するパターンで、私は後者になりました。
なのでマカロニウェスタンと言うモノに触れたのは、もちろんみんな大好きタランティーノ監督のおかげです。そして友人たちのおかげですね。
この友人宅で豪華なホームシアターで、まず「続・夕日のガンマン」のラスト40分ほどを鑑賞し、満を持してこの映画に臨みました。
「続・夕日のガンマン」セルジオ・レオーネ監督のラストシーンは、荒野に広がった墓地で行われます。かなり広大な土地で、近代的なビル、電線、そういったモノが全くない荒野と呼ぶにふさわしい場所です。映画の製作は1966年、南北戦争中の西部の出来事を扱った作品。当然1865年くらいの時代を撮っています。
その後およそ50年、誰もが見捨てていたスペインのブルゴスにあるそのロケ地を、当時のように再現しようとする人間を追ったドキュメンタリーです。
まず、この「続・夕日のガンマン」が大変愛される映画である事実、それもかなり偏ったと言えるかもしれない愛に支えられている映画だという事です。メタリカのライブでは必ずと言って良いほど、出囃子として、エンニオ・モリコーネの音楽がかかりますが、それはこの映画が好きだからですね。そしてこの映画が好きな人達は、何よりもこの映画が好き、というようなある種の狂気を感じさせてくれます。
まず、再現しようとする前に、このロケ地を見つける事から始まるのです・・・探し出すのにも苦労するかのように、ほとんどの人に忘れ去られていました・・・
映画内のリアルな状況を観た事がある人からすれば、ファンがその地を発見した時、まるで違った緑の大地となっていました・・・映画内では荒廃した荒野で砂だらけの場所の中に、岩で出来た円形の踊り場(直系30メートルくらいか?)から放射状に十字に道があり、その空白地に無数の墓標が並んでいたのです。
およそ50年分の土砂に埋もれたその場所を、元通りの踊り場を掘り起こし、再現しようとする数名の男達が、この作業は簡単にいかない、と悟ったのはまさに初日の出来事だったと思います。人力ではどうにもならない程の広さがあり、且つ、大量の土があり、草が芽生えているのですから・・・
ここからが本当の狂気の沙汰なんですけれど、それでも全く諦める気が無く、ネットで堀手を募集し、スペインだけでなく、ヨーロッパの各地の「続・夕日のガンマン」偏愛者が、飛行機に乗って農具を持って集いだす様は、本当に圧巻です。
発掘の主要な登場人物4名はどなたも無名の人であり、しかもどこか今でいうオタク器質、よく言えば少しの変わり者に見えるごく普通の人なんですが、この運動に関する動きの早さや行動力、映画について語る際の目の輝きに、美しさと同時に、確かに狂気を感じるのです。
実際にどうなったのか?は観て戴くしかないのですが、ラストにたどり着いた決断もかなり素晴らしいモノだと思います。
狂気に興味がある方に、「続・夕日のガンマン」が好きな方に、オススメ致します。
友人宅の業かなホームシアター、凄かったです。

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