井の頭歯科

「MEN 同じ顔の男たち」を観ました

2023年1月24日 (火) 09:37

 

アレックス・ガーランド監督     A24    渋谷シネクイント

何となく、所謂マンスプレイニングな場面が街中で起こってさあ大変、というような映画を予想して、私も気をつけよう、という感じの感想になるのかと思っていたら、全然違うホラー映画でした。

あと、マンスプレイニング、という言葉、名称がついた事で流布するようになったと思いますけれど、これって定義がまだ曖昧で、そう感じ取られる人がいるから加害者がいる、という事とはちょっと分けた方が良いのではないか?と思ったりします。wiki調べですけれど

マンスプレイニング(英語: mansplaining、男(man)と説明する(explain)という動詞の非公式な形のsplainingのブレンド語)は、「(男の)見下したような、自信過剰な、そしてしばしば不正確な、または過度に単純化された方法で女性や子どもに何かについてコメントしたり、説明したりする」という意味の批判的な用語である

とありますけれど、見下したり、自信過剰で不正確、過度に単純化、というのは問題ありですし、私も気をつけようとは思いますけれど、当たり前ですけれど、知らないから知りたい、知識を得ている人が知識の無い人に説明している、だけなのに、そこに説明を受ける側が一方的に(そしてコンプレックスから来る)劣等感を覚えたら誰もがマンスプレイニングを受けた、とはならないと思いますし、そこには必ず、徐々にではありますが一定の基準、ルール、マナー、秩序というようなモノがあると思いますし、無いのであれば、それはとても歪んだ世界だと思います。でもそういうような世界に向かっているのかも、とも思ってしまう出来事も多いんですけれどね・・・

無知は力である IGNORANCE IS STRENGTH

ジョージ・オーウェルが「1984」でビック・ブラザーが言うスローガンと同じ状態になる事なので。でもここ日本では鳥居耀蔵のような人物も生まれやすいハイコンテクストな文化なので、イングソックの世界に近いのかも。

閑話休題

凄く特徴的な歌詞を女性が歌っている曲をBGMに車を走れせて田舎へと向かっているハーパー(ジェシー・バックリー)は過去と思われる自分の生活を振り返っていて・・・というのが冒頭です。

なんだこの映画は・・・というのが最初の感想です。何と言いますか、田舎ホラー作品とも言えますし、凄く深い哲学的宗教映画とも言えますけれど、多分ホラー作品なんだと思います、凄くA24っぽい作品。

以前アリ・アスター監督「ミッドサマー」(の感想はこちら  http://www.inokashira-dental.jp/blog/?p=4146 )を「大変ネガティブな思考の持ち主が、真摯に真面目に作り込んだ、ホラー作品」と形容したのを思い出しましたが、そう言う意味で言うと「想像する被害性を哲学的な意味まで思考して、真摯にグロテスクに可視化した作品」と言えるかも知れません。

ネタバレはしませんけれど、とにかく、驚かせてやろう、謎めいて感じられるように布石しておこう、という意気込みは買うのですけれど、ちょっと音楽が煩く感られてしまいました、そう言う意味ではアリ・アスター監督の音楽の使い方の方が上品。最も、アレックス・ガーランド監督は上品さを求めていないかも知れませんけれど。

それと、指摘しておきたいのは、手根骨です。これは凄く興醒めしました。そうはならないぞ、と。

また、個人的には同じ人間という事になっていても、男女の間には、そして他者との間には深くて広い河が流れているので、理解する事なんて出来るわけないし、そう言うモノだとして、その上でコミュニケートする努力を払うべき派なので、まぁそう見えている人もいるかもね、とは思いました。

それと、同じ顔についてタイトルで言及するのは、どうかと思います。これは鑑賞の結果であればいいのですが、事前情報としてはいらないし、ハッキリ害だと思う。そう思って見ちゃうと萎える場面があると思います。

そういうもろもろの気になる点はあるにしても、とても哲学的土着宗教的本質的な視点も持ち合わせていて、面白かったです。監督はイジワルな人だと思うけど。

映像は無駄に美しく、都会的な場面では凄くピンクに特色ある色で描かれててそれが都会的未来的女性的に見えるし、田舎は逆にソリッドでコントラストくっきりのリアルに撮られてて凄くギャップが面白いです。

管理人の卑陋なその笑顔、生理的にイヤだと思うし、顔にはその人の生き様が現れていると思うし責任があるとも思う(個人の見解ですもちろん、そして自分の顔を神のごとく天高い神棚に載せての発言である事も承知ですし、すみません)にしても、生まれや先天性という部分もあるので、一概に断ずることは出来ないのだけれど、そういういろいろを全てのみ込んだとしても、好き嫌いで言えば嫌悪感がある眼差しが出来るこの演者ロニー・キニアさん、実際の写真を拝見すると、凄くイイ男の顔なので、こういう顔表情の演技なんだと思いますけれど、すっごく嫌な顔で凄いです、まさに役者!←褒めてます。

それと、ね、そういう土着の何かがキリスト教と混ざっていくのは歴史的な事実だとしても、なんというか、凄く嫌だなぁ・・・ただ、レリーフに表情を与える光源の移動は凄くクレイアニメーションのようでもあり、上手いと思いました。

女性でホラー作品が好きな方にオススメ致します。

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