井の頭歯科

「博打打ち 総長賭博」を観ました

2024年3月12日 (火) 09:11

 

山下耕作監督     東宝     U-NEXT
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は2/19
かなり前に「昭和残侠伝」を見た際に、個人的には高倉健さんよりも、池部良のカッコよさにやられたわけですが、その時に師匠から、それなら総長賭博を観た方が良いですよ、とオススメして頂いたのですが、当時は配信サービスも無く、レンタルビデオにもなかなか置いていなかったので観れなかったのですが、そう言えば、と最近思い出し、U-NEXTさんで検索すると、あった!となったので観ました。流石U-NEXTさんです。
昭和9年、天竜一家総長の荒川は、弟分の仙川から右翼会の大物との会談の席で倒れます。これを機に引退する覚悟を決めたのですが、六人衆の筆頭中井(鶴田浩二)は外様を理由に断り、獄中の松田を推挙するのですが、仙波は荒川の娘婿である石戸を推してきて・・・というのが冒頭です。
うむ、久しぶりの昭和の任侠モノですが、何と言いますか役者の重みをめちゃくちゃ強く感じます。しかも、恐ろしい事なんですけれど、松田を演じる若山富三郎、御年39歳です・・・主演鶴田浩二さんは御年44歳・・・お、恐ろしいくらいの年下です・・・が、当たり前ですが、全然年下に見えません・・・
ホモサピエンスの見た目はその寿命の長さによるのではなく、あくまで私見ですけれど、責任の重さを自覚する事で、かなりの覚悟(生死を問わないくらい)を重ねた者だけが会得する、大変な重みだけが、見た目を重くすると思います。
そう言う意味で現代が軽い時代であるのは当然だと思います。それだけじゃダメなんでしょうけれど、今のうちの国に、老成の価値観を見出せる人は少ないでしょうね。赤瀬川原平さんのいう老人力、と言うモノでさえ、軽さを感じますし、そうでないと受け入れられないでしょうね・・・特に女性はそういう生き物、としておく事で、消費されているように見えます。歳を取るなら死んだ方がマシ、くらいの勢いを、女性誌からは感じます。これは1980年代に、バブルの頃からもう少し生き残りましたけれど、恋愛至上主義的ば煽りと一緒だと、個人的には思います。
でも男性化粧品とかを新宿の有名デパート男性向け建物で売っているのを見ると(本当に下衆で申し訳ないのですが、新宿有名デパート男性向け建物でホモサピエンス・オブザベーションするの楽しいですよ、暇な人は是非のオススメです、そしてBL好きな人も)男性にもその波は打ち寄せてきているのですが、男性は頭が悪いので、理屈で攻めないとなかなか難しい感じがします。
閑話休題
本当に面白い映画でたった95分なのに、物凄くいろいろな事柄、しきたり、人物の葛藤関係性の葛藤が、これでもか!とまでに詰め込まれています。
名作!オススメです。で終わりでもいい気がしますけれど。
アテンション・プリーズ
ここからはネタバレありの感想になります。未見の方はご注意ください。
脚本の笠原和夫さんの脚本もさることながら、演出も無駄が無く、ソリッドで素晴らしい上に、役者さん方が命を懸けているくらいの意気込みを感じさせます。特に、鶴田浩二、若山富三郎の2名の演技、顔の表情は、強すぎるくらいです。
そして、見逃せないのが出番も演技の場面も少ないのに、その魅力を出した石戸役の名和宏さんの演技は素晴らしかったと思います。
もちろん、仙波の悪役ぶり、その非常に小悪人的な、小物感を漂わせる、口をとがらせるヒトラーみのある口ひげの演出も良かったです。まさに小物で、本当にどうしようもないですけれど。
主文を読み上げるラストも、そしてケチな人殺し、というセリフも、ココこそが師匠のいう脚本家・笠原和夫の意気込みだというのも理解出来ました、流石師匠。
と、観ている間は、大変に頑張れ、とか、我慢とかの後のカタルシスを感じられて良かったのですが、よくよく考えてみると、みんなもう少し我慢のしどころ、その方向性の合意を得る、という論理性が足りない事、そして感情に振り回されている姿が、ある意味未成熟さに感じなくもない上に、確かに道理ではあるのだけれど、結局のところ中井が引き受けていれば、という感覚が残ります・・・それを言っちゃオシマイなんですけれどね。

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