井の頭歯科

「みんな、おしゃべり!」を観ました

2025年12月19日 (金) 09:15
https://www.youtube.com/watch?v=D9GVnVOTVQo
河合健監督     GUM     ユーロスペース
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   47/127
気になってて評判も大変良い作品なので観に行きました。今年公開の新作のノルマもまだ足りないし。
大傑作。
何も知らないで、みんな今すぐ観に行った方が良いですよ~で終わりな、いつものオススメ上位に来る作品です。なんなら今年の№1かもしれません。それくらい良かった。
ろう者が営む電気店を舞台にした映画です。
様々な立場の人が出てきますけれど、いかに私は健常者で、そのマジョリティ性によって、優遇されているか?を『コメディ』で気付かせる事の出来る稀有な作品。
恐らく、ドキュメンタリーでも出来たはずです。が、そうする事ではなく、エンターテイメントにして、しかもコメディで、その上、他者の存在に気付ける作品。かなり難しい事に挑戦して、その高いハードルのはるか上を飛んで行った作品です。
河合監督はコーダ(CODA, Children of Deaf Adults)であったそうで、なるほど、非常に良く練られた脚本。まず、この脚本が素晴らしいです。
どんな環境、どんな状況であっても人は他者になれませんから、そして言語には限界があるので100%の理解をする事が出来ない。送り手の意図は自由ですが、受け手が何を受け取るか?は受け手の自由。けれど、だからこそ、言語以外の理解の仕方もあるけれど、最も意思疎通の可能性が高い言語を使いますし、その技術、練度、使い方を上げて行かないと齟齬が生まれやすい。
その言語にも様々なものがあり、その一つが手話です。そして知らなかったのですが、手話にも、日本語の手話、それ以外にも手話が存在するみたいです、知らなかった!手話って世界共通なのかと漠然と考えていました。
そしてもちろん、当たり前ですがホモサピエンスは完全な存在じゃないので、間違えたり、勘違い、思い込み、など様々な事で齟齬が生まれやすい。
でもコミュケートする事の楽しさも存在しますよね!その楽しさも十二分に味わえる作品です。
しかも言語の種類の多さ、そしてその文化的な成り立ちがあり、そこに尊厳や誇りを、感じるのは自由ですけれど、相手も尊重しないと、常に万人の闘争状態になるわけで、確かに同質なものの方が楽、でしょうけれど、異質なモノもある程度受け入れて行かないと、テクノロジーの発達があれば行き来はどんどん自由になりますし、それが交易になるわけで、止める事は出来ないです。しかもエネルギーを他国に依存している比率や、食料自給率が低い国家には難しい。
でもそういう事よりも、隣人とどう接するのか?なだけな気がしますし、この映画の驚愕のラストに、にやりとしない映画ファンは少ないんじゃないでしょうか?
演者のみなさんは、すべからく、その演じるキャラクターと、ご本人の中身との連動を感じられる素晴らしいキャスティングで、特に、主演のCODAでもある長澤樹さんの存在感が素晴らしい。ろう者の家庭にホームステイまでして手話を学び、そして自分の言語にまでしている!!!驚愕!!!彼女の魅力はちょっとずば抜けていて、思い出したのは川和田恵真監督「マイ・スモール・ランド」の主演嵐莉菜さんですが、同じくらいの存在感!この人、もっと知りたいし見たいと感じました。
それと演技は初めてという陰の主役毛塚和義さんが、本当にイイです。とても初めての演技とは思えないです。
私はろう者という表記と聴覚障碍者という表記の違いすら理解出来なかったですし、本当に世界は広くて、知らない事ばかりで、その上、知らないから無意識に何かを傷つけたりしているのかと考えると、とても恐ろしくなります。無知は恐ろしい。大妻女子学校の校訓を自らに向ける事の意味を感じます。
コミュニケーションをする人に、オススメします。大丈夫、凄く面白いから!
この作品にクラウドファウンディングしている人、凄い先見の明!尊敬に値する!
そして、そこに古川耕さんの名前を確認。やはりこの人スゴイ。

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