フランソワ・ジラール監督 ギャガ・コミュニケーションズ
またまた友人にオススメしていただいた作品です。全く知らなかった監督ですが、非常に凝った構成でして、かなり見応えありました。この構成は見事です。
現代のオークション会場に1人の男が入場してきます。既にオークションはいよいよ最後の品のお目見えの瞬間です。最後の品は「レッド・バイオリン」といういわくつきの名器。ここで話しは1681年イタリア、レッド・バイオリンが生まれるところに立ち戻ります。高名なバイオリン職人であるブソッティは妊娠している妻の身を案じながらも仕事に追われています。ブソッティの妻は召使に自分の子供の占いを頼みますが、その結果は・・・というのが冒頭です。
非常に壮大な物語であり、いうなれば歴史絵巻とも言えるかのような人間ドラマという横糸を、特殊で素晴らしいバイオリンという縦糸で紡いだ物語です。なのでかなり長い話しになるのですが(実際131分あります)、綺麗に短くまとまっていて短く感じました。全部で5つのパートに分かれていますが、そのどの部分にもクライマックスやその後に関連があり、魅せます。
バイオリン職人のすべてを注ぎ込み、我が子のようにして生まれたバイオリンに魅せられる人々を描いているのですが、関わった人物の幸不幸が克明に描かれて、善き事も、訪れる破局も、何もかもを飲み込みつつ紡ぎだされる音色はより美しさを増していき、その神秘的な音色を聞かせてくれます。
個人的には最初のパートである、孤児院の子供がバイオリンに魅せられ、虜になっていく話しと、最後の大団円に、そして少しづつ見せる編集の上手さに、ヤラれました。
音楽、特に弦楽器の音色に興味がある方にオススメ致します。
イギリスのバイオリン奏者で天才肌のポープの気まぐれさと、その彼女の話しは・・・かなり濃いですが(笑)、物語の一節として必要だったのかも、と思わないでもないです。そして中国の文革にまで話しが及ぶとはまったく考えていなかったので衝撃的でした。
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