井の頭歯科

「近頃なぜかチャールストン」を観ました

2020年7月10日 (金) 09:05

岡本喜八監督       ATG

全部の作品を観ているわけでは無いけれど、明らかにフェイバリットな監督の1人です。が、岡本喜八監督も最高ですけれど、利重剛さんの脚本が(どこまで出来上がってたか?は不明ですけれど、この方、ぴあフィルムフェスティバル出身なんですね、知らなかったです)、とってもイイです。私はあまり監督兼主役をする人で好きな人がいませんけれど(筆頭がウディ・アレンで比較的観れるのがクリント・イーストウッド)、この方の軽快さは気に入りました。

蒸し暑い夜の公園のベンチに座っている若いカップルに割って入る若い男(利重剛)が警察に捕まり留置所へ・・・そこには老人ばかりが集められていて、自分たちをヤマタイ国の住人であると話しだし・・・と言うのが冒頭です。

出てくる日付(12月8日と8月15日)が全部戦争関係の重要な日なのも、まぁ岡本喜八作品ですから、当然なのかも。今じゃなかなか伝わらないのかも知れませんね。

もう、こういうナンセンスギャグ好きにはタマラナイです。なんでこういうのが好きになったのか?私にも分かりませんけど、ちょいちょい挟まれるちょっとしたギャグのセンス、多少古くなってしまったモノもありますけれど、私には十分面白く感じます。古さではなく、その時代であっての着眼点、ズレと言う意味で、全然古くないと感じるのです。

まずはやはり脚本を挙げたいです。この脚本のどこまでが利重さんのアイディアだったのか?は不明ですけれど、大筋は間違いないと思いますし、その上で弱い所をいろいろつぎ足すアイディアを盛り込んだのが岡本喜八監督だったと推察します。

その上で、主役をここまで務める、それもギャグをキチンとこなす利重さんのセンスはかなり凄いと思います、度胸ある。なにしろ、キャスティングも凄いんです。

まず、ヤマタイ国の総理大臣が小沢栄太郎ですよ、いい味です、完璧です。さらに、紅一点の大蔵大臣に千石規子、ヤマタイ国のキャスティングは完璧ですよ。小沢栄太郎扮する総理の、のらりくらり感がありながらも、重しのあるとぼけた感じ、最高です。しかも、千石規子の可愛さ、ちょっと飛び抜け過ぎだと思います。マジでヒロインクラスでカワイイです。その他閣僚を務めるの役者さんも、余裕を感じさせる年頃で、ホントイイです。

ここに、定年退職間近の刑事に財津一郎、ドジな新人相棒に本田博太郎、このキャスティングもこれしか考えられない、と言えます。当然ギャグ映画にしか見えないですよね、ええ、そういう映画です。こういうのが嫌いな人も多いと思うけれど、私は大好きですね。財津一郎のとぼけもあるけれど、基本若手にはツッコミ、そしてドジの本田博太郎の顔芸込みのボケ、最高の組み合わせだと思います。

これだけ実力者が周りを固めていて、新人の利重さんや新人ヒロインの古舘ゆきさんが緊張しなかったはずはないと思うのですが、ストーリィが最高であまり緊張しなかったのかも。そういう現場にしてくれたのが岡本喜八監督の凄さだとも思います。何しろ製作費が少なかった為に、自宅を撮影で使用しているそうですから・・・映画監督には、もう少し、利潤が配当されて欲しいです・・・

さらに音楽のチカラ。これも大きいと思います。特にこの手のジャズの軽快さ、ノリの軽さ、まさにこれからジャンクの時代である80年代の幕開けにふさわしい81年公開作品。

まるで星新一の「マイ国家」とか矢作俊彦の「あじゃぱん」とか井上ひさしの小説「吉里吉里人」みたいな話し。

喜劇の中に、反戦だったり、当たり前のエロが入ってたりして、本当に面白い作品だと思います。こういうバランス感覚はまさに岡本喜八作品だと思うし、そういう意味で利重剛さんが温めていた脚本を岡本喜八さんのところに持って行ったのは慧眼だと思います。

岡本喜八監督が好きな方に、オススメ致します。

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