井の頭歯科

「聖なるもの」を観ました

2017年9月8日 (金) 09:41

岩切 一空監督      MOOSIC LAB2017

友人に教えてもらった音楽と映画の融合を目指した若手映像×音楽のコラボレーション作品を集めた映画祭で観ました。昨年に続いてみた首藤 凛監督作品も早稲田映画研究会の出身の方でしたが、この岩切監督も同じく早稲田映画研究会出身・・・早稲田スゴイです。

MOOSIC LABの中には短編や長編作品も含まれていますし、正直、個人的にはあまり好きになれない作品や、もう少し見られるという事に配慮があった方が良かったのではないか?と思える作品もありましたが(とてもストレートに、言葉で、説明されると割合醒めてしまいますし、そここそ、映像×音楽で魅せて欲しいと思いますが、あくまで個人の感想ですし、私は映画なんて撮れませんし)、首藤監督作品「なっちゃんはまだ新宿」とこの岩切監督「聖なるもの」はずば抜けて完成度が高いと感じました。

映画研究会に所属する岩切くん(岩切 一空)は3年間も映画が1本も撮れていませんし、先輩からは厳しい言葉を投げかけられるばかりです。そんな中、先輩に借りたハンディカムで日常を撮れ、と言われてひたすらカメラを回していきます。映画研究会の新入生歓迎会で4年に1回現れる幽霊の女の子と映画を作ると傑作になるという噂を聞いたのですが・・・というのが冒頭です。

いわゆるモキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)な作りで、岩切監督が岩切さんを演じている事からも分かりますが、とてもメタ構造な作品になっています。ストーリィを追えばなんだか幽霊って?え?となってしまいやすいとは思いますが、この映画に出てくるモノ、映し出されるモノ、かかる音楽、関わるもの全てが「ああ、これ絶対岩切監督が好きな事しか出てこないんだな」と妙に納得させるチカラがあります。

主演の岩切さんの身体を張った演技、その自分の好きなモノをさらけ出す勇気とてらいの無さ、その自分のセンスを微塵も疑わない(もちろんその様に見えるだけで本当は違うのかも、とか思考がぐるぐる回りはじめますが)度胸の良さと、育ちの良さを感じました。ある種暴力的なのに、その暴力性に全然気が付いていない育ちの良さを、です。

Wヒロインシステム(いや、実はさらにここにもう1人絡んでくるんですが・・・監督さん、ホントに好きねぇ~)なんですが、長髪黒髪で幽霊役 南 を演じる南 美櫻さん、人形のような、ちょっと人じゃない感漂わすのが上手すぎる静かな美人さんです。またもう1人、後輩映画監督でもあり女優の小川さん役を演じる小川 沙良さん、激しく言葉を扱い、監督のエゴを引き受けつつも、その事をフラットに戻すかのようなアクティブな美人さん、2人もヒロインがいるなんて、スゴイです。そしてその対比を含めて、映画への強い想いが感じられます。

私は正直監督主演作と相性悪い部分があって、どうしても監督のエゴイズム、作家性が強すぎると、そのアクの強さが気になって映画に集中できなくなってしまう傾向があるのですが、ここまで昇華されると、その世界観に没入させられるフックの多さと緻密さにとても引き込まれました。岩切さん、才能があるって(もちろん努力されてるんでしょうけど)スゴイ!と単純にヤラレテてしまいました。

ちょっとあんまり見た事ない作品、とはいえ様々な影響下にある、元ネタ探す楽しさも十分に感じられる作品。もちろんその先を魅せてくれるわけで、ああ、この人アレやコレが好きなんだろうなぁ、と想像せずにはいられません。しかもこの作風でまだ20代ですよ・・・若くて才能ある、って本当に眩しいです。

音楽のボンジュール鈴木さん、全然知らなかったですが、とてもキャッチーでポップです。そして、だからこその毒さえも感じさせる歌い手、とてもこの作品に合っていると思います。岩切さんの毒も十二分に感じられましたし。

次回作が楽しみです。

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