アリ・アスター監督 A24 吉祥寺アップリンク
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 50/130
何を言ってもネタバレになりますし、何と言っても、真面目にネガティブ、映画作りに真摯な監督であるアリ・アスター監督の映画ですから、まぁ普通じゃないです。
もちろん普通に観てそれなりに面白い作品な部分もあるけれど、とても、アリ・アスター監督作品である、と感じました。この人の感覚は独特なので、好き嫌いがはっきり分かれる監督でもあると思いますし、何と言っても、莫大な資金をつぎ込んで作った「ボーは恐れている」は興行的には失敗だったのに、その次作で、え、ちょっとすごないっすか、というお金のかけ方をした作品でして、改めて、凄いと感じました。
だって、普通大コケしたら、映画作れなくなる人も多い世界で社会なのに。よく分かりませんが、相当に、製作会社A24に好かれている、もしくはプレゼンが上手い人なんだと思います。
しかし真面目にネガティブな人が、映画製作会社にプレゼンが上手くて金を引っ張ってこれるって、想像しにくいですね。結構シビアな世界と聞きますし、何と言っても、ある程度一般大衆に響かないと興行としては難しいですし。まぁそれか、「ヘレディタリー」と「ミッドサマー」が当たったから、今作くらいまでは作らせてもらえたのかも。
2020年5月のニューメキシコ州エディントンをさすらう一人の男が・・・というのが冒頭です。
今回、アップリンクで混んでて、比較的前めの席が取れず(私はとにかく端っこじゃないと集中して映画が観れない、隣りは1名までしか耐えられないので・・・)、少し後ろ目な席だったのですが、結構暗めの画面構成でして、かなり観難かったです。もう1回観に行く可能性ありますが、かなり前で観ないと、いけない作品。
基本的にネタバレ無しで言える事はかなり少ないですし、それなりの長さもある作品。もう少し絞れた気もしますけれど、全方位に結構、監督が怒ってるんじゃないか?と思います。
それと、パンフレットのインタビューを読む限り、問いかけ、の材料になれば良い、と考えているみたいで、それは本当にその通りですし、この映画を観た人と話し合いたい気持ちになります。
無理やりにまとめると、アリ・アスター監督は、現代のSNSに対して、懐疑的というよりは建設的ではない破壊的行為に他ならないし、陰謀論含む、何が善き事なのか?を考える時間を取れるまでは安易に行動に移すな、という事ですし、SNSに踊らされるホモサピエンスに対して怒ってるし、怖いと感じているんだろうと思います。
そりゃ、こんなネガティブな人(少し長くなりますが「ミッドサマー」公開当時のインタビューでのパンチラインを
「毒のあるカタルシスが好き」、「避けられない運命」、「僕のキャラクターが希望の持てない不運な境遇にいるのは、僕自身の事をほのめかしているのかもね」、「我々は両親を選ぶ事は出来ない、遺伝子的にそこから逃げる事も出来ない」、「審美的に美しくない映画は許せない」、「美しく作品を作る事は義務」、「観客を驚かせる音を使う監督は嫌いだ、映画に対する信頼を損ねている」、「肉体は無条件で僕たちを裏切る」、「20年以上生きていられる事が奇跡だ」、「ただグロテスクにする事はしたくない、ただゴア描写をショッキングな為に用いる事に憤りを感じる」
という人なんですよ・・・)からしたら、ホモサピエンス全般が恐ろしいのに、そのホモサピエンスが、SNSでより凶暴化している、ように見えるんでしょうね・・・
私も基本的には同意しますけれど、触る事ありますし、ね・・・ここに感想を書いている事自体、ネットに触っているわけで、要は使い方次第なんでしょうけれど。
懐疑的な考え方を保てる人、もしくは保てていない、という自覚が無い人に、オススメします。
本当に、全方向に、怒ってるし、恐れているし、イヤな気持ちになっているんだろうなぁ。分かる気もしますけど、他者って他者だから絶対に分かり合えないのに。