井の頭歯科

「ビハインド・ザ・カーヴ 地球平面説」を見ました

2019年3月12日 (火) 08:26

ダニエル・J・クラーク監督     Netflix

ラジオ番組の『人類はまだ大丈夫なのか?』高橋ヨシキさんの特集を聞いて、はてさて?なんの話しなのか全然分からないが、とにかく気になり、早速鑑賞しました。もう一つのドキュメンタリー『FYRE夢に終わった史上最高のパーティ」という映画も気になりますが、こちらを先に選んだ次第です…

とにかく、凄まじい映画体験でした・・・

地球平面説を、信じる、人たち、その代表的なマーク・サージェントと周囲の人々の観察と、その主張に対する、宇宙物理学や心理学者やサイエンスライターなどの科学者側からの反証をするドキュメンタリー映画です。もちろん科学者側はあくまで地球平面説者の主張をスタッフから聞いてカメラに向かって科学的に反証するだけで、直接論争するわけではありません。というか、すっごく控えめに言って、会話にすらならないと思いますので。

割合最初の方でマークさんが言う地球平面説に必読の書の中に、ジョージ・オーウェルの『1984』が入ってたりして、本当に読んだのだろうか?と疑いたくなります。普通この本を読んで物事の客観性や陰謀論について懐疑的になる事はあれ、より先鋭化する事はまずない本じゃないかと思うんですけど。

マークさんの主張は、まあ、あり大抵な実感主義という事に尽きます。へー地球が丸いんだ、でもオレには感じないし、オレの目には地平線ままっすぐに見えるよ?権力者の都合で騙されて地球を球体だと信じているヤツらは馬鹿だ、という感じです。

実感主義、私にもあると思いますし、何かを疑う事は客観性を生む土壌ですし、不思議に思うから知りたくなるわけで、まさに必要な事です。

が、映画が進むにつれて、反証や論理的な考えが全く通じないのを見ていると、まるで何が何だかんだ分からなくなるクラクラ感が味わえます。

自分にとっての都合の悪い事実は、難癖を付けて認めない癖に、自分の感じには絶対の信頼を、勝手に、信じてるんですよね…

序盤は典型的な陰謀論者なんです、科学的な知識もないのに、その科学的な意味すら、権力者の陰謀だ、となっていきます。

ええ、私も最初は笑っていました、テレビで見る変な人を揶揄している感じを(お笑い芸人さんの姿形や言動を煽っておいて貶めて笑いをとるのは不快に感じますけど)。でも違うんです、100%の真面目に、陰謀だと、信じて、いるのです。理解じゃなくて信じてるので、都合の悪い事実や結果を認めずに、実験の誤差だの、まだ不明な部分があるだの、喧しく駄々を捏ね始めます、その姿は滑稽ですらあります。

が、信じているモノを他者に批判された経験が誰しもあるように、憤りを覚えた経験を思い出させるのです、あの若かった在りし日の自分を。

もちろん、私はまだ成熟していないとしても、一応職業について税金を納めていても、もうすぐ50歳だとしても、それでも、この人たちほど、追い詰められた視野狭窄を土台にした肥大した自尊心ではない、と思ってしまうのです。あの在りし日の自意識過剰な私をスポイルさせて、純粋培養した結果を見ているような気持ちになりました・・・かつて自分にも、いや今だってあるかもしれない、と思わせる恐怖があるのです。

とは言え、間違いなく、陰謀論者の視野狭窄の自己認識肥大の誇大妄想狂な人なんですけどね。

この人たちに届く言葉はなく、勝手にコミュニティを形成する自由は、あると思います。だからこそ、私にも彼らを無視する自由があると思ってましたが、無視しているとカルト化するんじゃ・・・という恐怖があります。何しろ彼らはここに来るまでに多量の疎外感を経験し、鬱屈を溜め込み、様々な陰謀論を通りつつ、そこからも溢れ落ちた存在なんです。

1コだけネタバレします、すみません…

とある機械を2万ドル(思いっきり単純に計算して200万円以上しますね)で地球の自転する角度を計ってみて、数値が違う事で地球平面説を証明しようとする男が、機械はちゃんと正しい自転の角度を出し続けるのですが(当たり前ですね・・・)、最終的に出した答えが、地球が自転している数値と同じように地球平面が動いている、と言い出したんです・・・もう何でもあり、何があっても認める事は無いんでしょうね・・・

本当に恐ろしいです。

何処かで負けとか間違いとか過ちとかを、認めるチャンスはいくらでもあったと思いますが、それを一切無視して、何があっても、悪いのは他者、で乗り切ってきた人たちの末路。まあ身から出た錆なんで、仕方ないのかも知れません。

ラスト、まさに今で言うとブーメランな、散々自らが、立場の違う相手をあげつらう為にしてきた質問を、撮影スタッフから投げかけられて、返答に窮するマークの自尊心はいかに。

あ、あと、インポスターシンドロームとか、ダニング=クルーガー効果だとか、確証バイアスだとか、果てはケムトレイルなどという、全然知らなかった事を知れるトリビアルな楽しみもあった事は追記しておきます。

高橋ヨシキさん、人類は全体的に見れば、微々たるものですが進歩してます、多分大丈夫なんじゃないかな?と思いますけれど全員じゃなく、かなりダメで大丈夫じゃない人がいる事が分かりました。ここまでとは思ってなかったですけど。

Netflixに入ってる人にオススメ致します。

One Response to “「ビハインド・ザ・カーヴ 地球平面説」を見ました”

  1. [...] 見ました。もう一つ紹介されていた「ビハインド・ザ・カーヴ 地球平面説」(の感想は こちら )も大変恐ろしい内容で、現実感がどんどん希薄になっていくようでしたが、こちらも、 [...]

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カテゴリー: 映画 感想 | 1 Comment »
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