井の頭歯科

「落下の解剖学」を観ました

2024年10月26日 (土) 08:47

 

ジュスティーヌ・トリエ監督     GAGA     U-NEXT
2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は31/100
色々な意味で評判だった作品ですし、年間本数は今年は割合早めに達成したのですが、今年公開映画がまだ自分に課している本数に足りなかったので、新作で観たいモノで選びました。
評判の中には良いというのもあれば、かなり悪いのもありますし、ある意味評価が分かれているのは興味ある作品とも言えます。
雪が降り積もった山地に立つ3階建ての山荘で・・・というのが冒頭です。
法廷サスペンスモノだと思います。そして法廷モノは面白い作品が多いですよね。私は好きな作品が多いです。
ですが、最後まで本当に何があったのか?は分かりません。あくまで裁判結果は判決が出ますけれど、この映画の本質はそこではなく、観客である受け手が何をどう思うか?を楽しませる映画。
の割に、結構長い・・・そして、その長さ、体感含めて、あまり上手いとは言えない気がしました。やりたい事はなんとなく理解出来るように感じますが、もう少しコンパクトな方が私は好みですが、その辺はフランス映画ならではなのかも。
そして、主演が「関心領域」のあの奥さん!で、これまた非常に難のあるキャラクター。
で、もちろん上手いです、演技。というか、そういう人に見える・・・
こういう映画を観て後で考えるのは、男女の立場が逆でも成立するか?なんですけれど、父親と母親の立場を逆にするの、凄く違和感があり、この辺が個人的には埋められない。やはり出産というイニシエーション性は強くて理解出来ない感覚があります。
倦怠夫婦モノとも言える作品ですが、立場があまりに違う気がしますし、人物の強さ、についても差があり過ぎる・・・
もっと曖昧模糊でも良かった気がしますし、母親の有名性は無くても良かった気がします。ちょっと要素が多すぎる。もう少し絞っても良かったし、その有名性はこの映画のテーマとあまり関係が無い(有名性を出さなくても、十分に強いキャラクター)のに、割かれなければいけないシーンが多すぎるのも、ちょっと・・・
でもまぁ親の要素を抜けば、男女を逆にしても、昔なら普通にあり得たかな。特異な話しでもない。
でも、子供要素が、演じている子にも負荷がかかるし、う~んと思います。結局のところ、なんにせよ、子供に負荷をかけ、裁判でさらに負荷、その上証言で負荷、おまけに、主体的な責任まで背負った上での判断をさせる負荷、と、誰の子供に生まれるか?を決められない幼少期で保護されるべき存在ではあるはずが、ここまでやる製作者の、夫婦の関係性の深みを出すために、ここまでやられると、意図として理解は出来ても、正直人格として疑う。この点は凄く気になる。庇っているようで、実は負荷をかけている。
もし、裁判で、自分がどうなっても、子供を保護、守るために証言をさせない、もしくはそのために自分の権利を行使しない、という判断だったら、まだ納得できるが、まぁその後の子供の安寧を考えると難しいのかな・・・あるいは、自分こそが守るという、エゴに私には感じられた。それを親の責務と考える人が居るのは理解しますけれど、私はエゴに感じます。
しかし、お犬さまが、かわいい。私は猫原理主義者だが、お犬さまも、やはりかわいい。
裁判結果とは別に、あなたは本当の所、どうだったのか?を誰かと話し合ってみたい映画。
能動的に考えてみたい人にオススメ致します。

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