アガサ・クリスティー著 矢沢聖子訳 早川書房クリスティー文庫
アガサ・クリスティーの著作で最も素晴らしい小説、と呼ばれているとの事で、最近読んだ「春にして君を離れ」があまりの大傑作で、しかもアガサ・クリスティーを読み漁っていた中学くらいでは全く分からなかった50を超えて読んで気づかされる凄みがある小説だったのですが、それ以上、という期待を持って読んでしまいました・・・これは良くなかった。期待し過ぎました。
イギリスの地方で売りに出されている地元民が「ジプシーが丘」と呼ぶ土地が競売にかけられている事を知った男マイクがその地を見て回り・・・というのが冒頭です。
完全な1人称の語りてマイクを通して描かれる話しです。
で、まぁアガサ・クリスティー作品はそれなりに読んでいますので、なるほど、とは思いました。しかし、「春にして君を離れ」を超える作品では、今の段階では、私にとっては、無かったです。
この手法(どの手法なのかもネタバレになってしまうので・・・)が初めての人にとっては衝撃度は高いと思いますが、そうではない人にはそこまでではない感覚があります。
それと、複雑に感じられる感覚もありますけれど、非常に単純明快とも言えますし、深み、というかホモサピエンスの心の動きの機微は、そこまででは無かったです。
というか飛び抜けて「春にして君を離れ」が凄すぎるんですね・・・栗本薫の解説も素晴らしい。
ミステリというよりは、小説、でしょうね。
ただ、「春にして君を離れ」は文学。それもかなり高級な文学作品。
この作品もタイトルは悪くないとは思いますけれど。
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