王谷晶著 河出文庫
出版は2020年で、その時、冒頭は立ち読みして、そのままにしてしまっていました。そして今年2025年に英国ダガー賞を受賞、という事で大変賑わっております。
ところが、私ダガー賞を受賞した作品を、読んだ事が無いし、ダガー賞を受賞した作品をそもそも知らない。で、ちょっと調べてみると、ダガー賞といってもゴールド・ダガー賞とインターナショナルダガー賞という風に分かれているようです(wiki調べ)。で、もちろんインターナショナル・ダガー賞を受賞しているみたいですね。ゴールドの次点でシルバーという受賞もありますし、マッカランが資本提携しているようです。
そしてゴールド・ダガー賞受賞作品ジョン・ル・カレ著「寒い国から帰ってきたスパイ」は読んでいました。
当たり前ですけれど、なんとか賞を受賞したからと言って、それが私にとって素晴らしい作品か?は別ですし、ダガー賞を知りもしないで、持ち上げるのもどうかとは思います。
読後に、1番びっくりしたのが、著者の性別が女性であった事です。そうか、そういう意味でなら、分かります。
そもそも、文章の書き手の性別が、作品の評価に決定的な違いが存在するのか?と、は問いたいですよね。優れた作家は優れた作品を残すし、普通の人が1作だけ何の前触れもなく素晴らしい作品を生み出す事もある、また、読み手にも成長や時期があり、全く分からなかった作品が年齢を重ねた事でよく分かる重要な作品になったり(10代の頃、ミステリをよく読んでいた時期では、アガサ・クリスティーの「春にして君を離れ」は全然分からなかったと思います)、考えが改まる、私はある事だと思いますし、これに気付けたのは鶴見俊輔氏の名著「戦時期日本の精神史1931ー1945」を読んだからですし、その前にある程度、先の大戦についてのある程度の見識が無いと、それも無駄に終わっていた可能性だってあります。選択の積み重ねが今の私なわけですし、忘れてしまう生き物でもある。
もちろん、なんとか賞の受賞を本人の作家さんが喜ぶ気持ちに水を差したいわけではなく、読書で理解出来るのであれば、自ら読んで判断したい、というだけです。当たり前ですが権威ある賞の価値と私一人の価値なんて比べるべくもなく。
ただ単に、いわゆる世界的な評価を受けると、急に全員が認めるのはどうかと思うだけです。宣伝、広告業、に不信感がある、全く信用できない、と思っているだけかもしれません。虚飾業だと思いますし、ね。
話しが長い・・・でも正確を期そうとするとこうなってしまいます・・・
友人に、読んでみたら、とオススメされたので読みました。
凄くバイオレンスな小説です。主人公の新道依子は暴力に惹かれて体を鍛えている女性で、ふとしたことからとある組織にスカウト(?)されて・・・というのが冒頭です。
これを、女性が書いている、そしてある種のバディを描いた作品として紹介するのは、よく分かりますし、確かにそういう部分もあるのですが、何となくミスリードな気もします。
基本的に読んでいただくしかないと思うのですが、ある2名の女性の連帯、バディ感、今まで見た映画小説の中では出てこなかった関係性で、新しい、と感じました。
で、これが、自らの発露であるのか、環境の為なのか?という部分はどなたか既読の方と話してみたい感覚あります。大仕掛けの部分については上手いとも感じました。でも、あっちの顛末も気になる。
なので、ネタバレありの話が誰かとしたいなぁ。
あくまで身体性の話しとして、男性は筋肉量が多い傾向にあるでしょうし、だから長所として、自らの利点である腕力を使ってきた歴史がありますし、その腕力を暴力に変えて、現状変更してきた歴史と言い換える事も出来ますし、なんなら今も面子のはなしで、大量のホモサピエンスが、腕力の先にある、銃器で、兵器で、人工的な飢餓で、殺されています。
そういう意味で、男性は暴力的だとも言えるし、その影響で、女性は非常に長く苦しい歴史を歩んでいると思いますし、なんなら人権という概念が発生したとて、まずは男性に付与され、時間を置いて(結構長い)女性にも付与されましたけれど、選挙権とか、その他も恐らく一緒です。そういう意味で長く辛い経緯がある。
それでも、女性であっても身体を鍛える事が出来、一般的男性と比べて腕力が勝っている場合、何某かの意見の相違の解決に、腕力≒暴力を用いる、なんなら用いたい、という欲望があるのかも知れない、と気づけた事は発見でした。そう言えば中島みゆきの「ファイト」でも、男に生まれれば良かった、という部分は、ある種の腕力を行使したい、という願望、と捉える事も出来るかも知れません。
腕力を使っての交渉、現状変更、凄く嫌ですけれど、国家間でもやってるし、ホモサピエンスは乗り越えられないハードルなのかも知れません・・・
私も腕力がつけば、腕力を行使したくなるんだろうか?
暴力に興味のある方にオススメします。
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