アダム・エリオット監督 マッドマンエンターテイメント U-NEXT
2026年公開映画/2026年に観た映画 目標52/120 10/33
何と言っても名作「メアリー&マックス」の監督作品ですし、劇場に行きたかったのですが、間に合わず・・・ですが、すぐにU-NEXTさんに来てくれました、ありがたし。
大変に個性的な監督だと思いますし、それでいて、アーティスティックでもなく、しかし、エンターテイメント一辺倒でもない作品を仕上げて来てくれますので、期待大です。
老婆を看取るグレースは・・・というのが冒頭です。
あ、すみませんネガティブな話しではありますが、ラストには希望を感じられる作品ではありますが、そういうの好かない人もいらっしゃると思うので。つまりネアカな人、パーティーピープルには向かない作品。
まず、ガジェットはかなりのアート寄り、なのに、温かみを感じさせるのは、クレイアニメだからだと思います。クレイアニメーションの傑作は本当にたくさんありますが、ピングーを思い浮かべて貰えば良いです。どう考えても温かみを放ちますよね。そもそも私が暗いアニメーションが好きだというのもあるとは思いますが。
しかも物語はビター。過去作の名作「メアリー&マックス」もそうでしたが、この物語も非常にビター。ですが、今回は主人公たちの陥る状況がさらにヘヴィーなので、そして特殊だからこそ、よりキツい感覚になってしまいました・・・ちょっと特殊過ぎる気がしました。
またクレイアニメの造形、オリジナリティがあり、且つ、男性に媚びた感じにしないのが、本当に素晴らしい。ジャパニメーションの、確実に、男性にとって、に媚びた表現は本当に教育としてもダメだと思うし、非常に怖さがあるのですが、この監督には無い。いびつさを面白味を含んで表現出来る事が素晴らしい。
そして、本当にこの監督さんは手紙が大好きです。私も手紙、好きです。書き手や受け手の残留思念を感じる感覚になる事があるのって、モノ、である手触りが重要な気がします。電子メールでは絶対に体感出来ない種類の手触り。槙島聖護も言ってましたね「紙の本を読みなよ」と。
そしてクレイアニメーションも同じですけれど、CGや手書きアニメーションとは違って、手触り感があるんですよ、実在感が、ある。だからこそ、手紙というガジェットが重要視されるんだと思います、とは言え時代設定が1970年代なので、恐らく、監督の実体験を基にしているのではないか?とは思います。監督は同世代だろうな、とは思いました。
生きるとは何か?という話しになるのは「メアリー&マックス」と同じですが、今回はより環境負荷が強い・・・
それでも、生きている事だけで厳しいと感じているすべての人にオススメします。
同時に詩人シルヴィア・プラスが好きな方にも。私は調べて知りましたが、この監督は恐らく私と同じように生と死は等価である、という考えに近いのではないか?と感じました。これからシルヴィア・プラスについては読んでみたい。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想になります。ですので、未見の方はご遠慮くださいませ。
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ネタバレあり、ですと、
まず、グレースにとっての初期設定がきつ過ぎる・・・だからこそ、こうなってしまったのだと、理解はするけれど、設定として、キツい・・・
口唇口蓋裂、母親の出産での死、父の境遇と死、里親の性生活の奔放さ、弟との別離、いくらなんでも、です。
そして中でも、夫となるケンは、確かに脂肪を愛していたのかも知れません。しかし、グレースの脂肪を、愛していたのかもしれないのです。それに、グレースは、ピンキーからも指摘されますけれど、自分からは一歩も踏み出していない。ケンを選んだ理由は、ケンがグレースを見つけたから、それだけです。
ここはちょっと引っかかりましたし、ケンには釈明の機会も無かったので、不当な扱いを受けている感覚になります。
カタツムリが悪い訳じゃないし、太っていても良いけれど、自らの選択にのみ価値がある、という考え方に寄らなくとも、あまりに殻に閉じこもった感覚で、それもこの境遇だと仕方ないのかも、とは思いつつ、だからこそのラストのカタルシスがあるわけで、そういうモノなのかも知れません。
全体的には、私は前作「メアリー&マックス」のケセラセラを超えるシーンは無かったと思うのです。今作も素晴らしかったとは言え。