井の頭歯科

「サムライ・アベンジャー 復讐剣 盲狼」を観ました     SAMURAI AVENGER THE BLIND WOLF

2026年3月24日 (火) 08:35
光武蔵人監督     MAXAM     DVD
2026年公開映画/2026年に観た映画   目標52/120   10/34
あの光武蔵人監督の監督主演作です。
あくまで個人的には監督が主演する作品は好みではない事が多く、オーソン・ウェルズ、ウディ・アレン、クリント・イーストウッド、メル・ギブソン、ああ、めっちゃ名監督もいると思いますが・・・もちろん監督で主演されている監督で好きな人もいて、竹中直人、チャールズ・チャップリン、です。もちろんアルフレッド・ヒッチコックくらいの、ちょい役で出てくるくらいが好みです。
そこに、光武蔵人監督も加わりました。凄い。製作面からも、キャラクターも、熟考の上での決断なのだと、理解しました。その上、この映画ではそれが素晴らしい効果をあげています。
砂漠地帯に1台の車が走ってきます。ある地点で男は車を止め・・・というのが冒頭です。
タイトルからしてSAMURAIと謳っていますし、復讐、とも言っていますから、ネタバレにはならないと思いますが、復讐劇で、しかもアメリカを舞台に、剣劇を行なっています。
つまり、師匠である、岡本喜八監督作品「EAST MEETS WEST」の本歌取りを行なっている訳です。非常に胸熱です。
恐らく、監督の好きなモノを全て、情熱を持って注ぎ込んだ作品。
それをアメリカで行っている訳です。これがどれほど凄いことか。想像を絶します。
やっている事は、どれも、あ、アレだ!と言えること多いです。が、そこに愛がある。これが非常に重要で、強い愛を感じました。オマージュ元を指摘するのは簡単だと思います、が、それはあまり重要では無い気がします。
先人の作品、キャラクターを愛して、昇華して、自らの血肉に変え、その光武蔵人版を、新たに描き出しています。
もうてんこ盛り過ぎると思うのですが、この盛り込みが光武監督の持ち味でもあるので、正解だと思います。
相棒役のジェフリー・ジェームズの身体のキレも良いですし、ちょっとヒュー・ジャックマンみがあります。殺陣も素晴らしかったですし、器用な方だと思います。
さらに、復讐劇だと、悪役が非常に重要なんですけれど、その敵役をドミチアーノ・カンジェリさんが演じているのですが、この方の非道さが本当に酷いので、映画にちゃんと乗れているんだと思います。
師匠役の鎌田規昭さんがまた良かったです、この方の顔、凄く光武監督作品に出てくる印象があり、マニアック・ドライバーの主演木村知貴さんにも似ています。
いろいろオマージュ元もありますけれど、私が1番最初に気づいたのは、アレハンドロ・ホドロルスキー監督の「エル・トポ」です。
それと、ナレーションを入れて日本の文化を説明するのも、止め絵でスタイリッシュに過去シーンを差し込むのもとても良かったと思います。
光武蔵人監督が好きな方に、オススメします。
光武監督作品の中では、どうしても1番はマニアック・ドライバーですけれど、甲乙つけ難い傑作だと思いました。
アテンション・プリーズ!
ここからはネタバレありの感想です。未見の方はご遠慮くださいませ。
ネタバレあり、ですと、
まず、盲狼の造形ですよね。メイキングも観てしまい、光武監督のスケッチも観たのですが、これ美術の人の再現度がヤバい。主演だからこそ、カッコよくしなければならないのに、それだけじゃなく、薄くして風通しよくし、さらに皮製品を用いて重みを出して、ポンチョが風に揺れる、その上それがかっこよく揺れる様は本当に美術の仕事って大切なんだ、と気づかされました。
メイキングまで見ると、余計に、映画への愛、を感じるんですね。このポイントも異常に高い気がします。いやもちろん、どんな映画の現場でも、同じような事は起こっているんでしょうし、規模の小さい、予算の少ない現場では、常に、同じ事が起こっているんだと思います。でも、ここまでパッションがかかっている事、あまり無い気がします。駐車場での車の移動、あまり使わない単語ですけれど、心が動きました。
特殊メイクも1名の方が全てを統括していて、それも驚愕なんですけれど、本当に数が多すぎるくらい多いです。万全の準備をしておかないと、僅かな撮影日数で出来るわけがない。しかも1日でかなりの数の撮影を行っているのが分かりますし、素材は出来るだけ多い方が良いのも分かりますけれど、ほぼほぼ1テイク、もしくは2テイクで行っていて、これもかなりの準備をしないと出来ない。
監督が拘った(とは言え、この映画全てが監督の拘りでしかないわけですが)撮影初日の、冒頭の車でのシーン、あの空と地平線、そして偶然だと思いますが、つむじ風による視覚効果が起こり、まさに西部劇的な決闘シーンになるのは、偶然とは言え、この作品がついてる証に感じました。
7人の刺客、数珠、峰打ち、陰腹、白骨観相(あ、私、この白骨観相の場面の方、造形が好き!)、そして冥府魔道。それぞれに説明が必要な、それでいて日本人でも知らない可能性すらある文化についての説明へのナレーション、まさにEAST MEETS WEST的な事じゃないでしょうか?このナレーション、それもこのナレーターの方のテンション、落ち着いていて諭すような口調、これが凄く良かったし、世界の、海外の人に知ってもらいたい日本の文化!という紹介になってて良かったです。もちろん文化の側面をすべて説明出来るわけではないのだが、知りたければ自分で調べに行ける最初の一歩を提示する事にしているのが、素晴らしい。
東洋と西洋の架け橋で言えば、間違いなく、この作品の表のキーは光武監督ご自身が表しているのだが、裏で支えたのは殺陣指導の方です。ブロンド、ブルーアイの方が東洋人に殺陣を教えている光景、ここに洋の東西を問わない関係が結ばれています。
陰腹知ったの、私は北斗の拳のトキがラオウと闘う際に、剛力を求めて陰腹斬るシーンがあり、すげぇ日本文化こえぇ~ってなりましたよ・・・
日本の文化を、誇大にしているのではなく、嘲笑するのでもなく、映画的に解釈してエンターテイメントにする力こそ、光武監督の作品に通底する味のような気がします。
そして陰腹の実際のシーンの奇跡。綿が宙を舞い、そして突風が吹く、まさに美しくも儚く、諸行無常をシーンで表現、それも奇跡的な瞬間であり、この映画、ついてる。
もちろん座頭市だし子連れ狼だし、ゾンビもいるし、なんならエアロビ映画の要素もあるし、でも西部劇だし、で監督が何が好きなのか?をとても理解出来る作品。
あとカメラを女性が回してるのも驚きましたし、光武プロダクションの非常に若い女性のプロデューサーが、有能!こういう人が周囲にいる、という光武監督の人間力の高さと、縁を手繰り寄せるチカラ、凄いなぁ。
これ、今の方が流行るのではないか?とも思いました。
メイキング映像の中で、光武監督がTシャツ姿で写ってるシーン、The Texas Chain Saw MassacreのTシャツで、そこは、これなんだ!と思いました。
あと、死語かも知れないけれど、サービス、何だと思いますし、その為の撮影の配慮も大変だったでしょうし、役者さんにも負荷がかかるから、気遣いも大変だと思いますが、皆この映画の為、にやってて、その辺を観てしまうと(つまりメイキング)、サービスなんでしょうけれど、なんか目頭が熱くなります。奥さん役も、子供の役者さんも凄く良かったけど、それ以上に、やはり敵役のドミチアーノさんが良過ぎて。
ドミチアーノさん、メイキングというか別で回してるカメラに向かってしゃべってると、恐らくこの人、凄く優しい人で、喋り方も凄く内向的な、内省的な、心を感じます。役者ってスゴイなぁ。
それと、アマンダ・プラマーさんが!!驚愕!全然気づかなかった・・・だって、フィッシャー・キングのリディア!だなんて!!そして、アマンダ・プラマーさん、私の好きな作品にめっちゃ出てる!
「ホテル・ニューハンプシャー」、「ガープの世界」のエレン・ジェイムス!!、「ジョー、満月の島へ行く」、さらに「パルプ・フィクション」のバニー!!そうか、そうでしたか。
こういう地位作品ながらも、大きな俳優を連れてこれるのも、光武監督の凄いコネクションですよね。
作品の完成度もさることながら、作り上げた情熱の方にやられてしまいました。

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