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田中絹代監督 松竹 U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画 目標52/120 43/121
追悼・仲代達矢 9
本当は山本薩男監督の不毛地帯も観たいのですが、何処にも無くて。仲代さんと一緒に仕事をした監督の中では、あとは山本薩男監督は絶対外せない人なんですけれど、それは「金環触」を観ていただくとして、相性も素晴らしく、いくつかの作品で観られます。
でも、女性の監督の、特に田中絹代監督を一緒に仕事をしていたのは知らなかったので。田中絹代監督作品「恋文」は本当に素晴らしかったですし。
天正15年1578年豊臣秀吉の薩摩の島津氏への侵攻が続く中・・・というのが冒頭です。
主人公は茶人・千利休の娘・吟(有馬稲子)です。彼女はキリシタンの信徒(?)と思われますが、この人物が実在しているのか?ちょっと微妙な感じです。ですが、史実のイベント的な時系列はおおよそ合っていると思われます。
そして、吟の想い人が高山右近(仲代達矢)です。そして高山はこの天正15年頃は既に既婚であり、キリシタン大名でもある為に、既に左遷されそうな感じです。
という状況で、吟の結婚の話しが持ち上がるのですが、という悲恋ものです。
田中絹江監督はなかなか細やかな監督、しかも成瀬己喜男を師匠に持っていますから、女性の描き方も、知っていると思いますし、決して悪くない。処女作「恋文」はそれこそ非常に整った、名作と言える。リアルと実情に対して、かなり拘りのある演出と意義を出しています。
ですが、本作はどちらかというと、悲恋、に焦点を当てているので、大変女性の感性に沿った演出、効果になっているので、入り込める人には大変心地よく、そうでないと少し距離を感じます。
ですが、この中で、仲代達矢が尋常じゃなく、まばたきしてます。これまで見てきた映画の中では恐らく、1本に10回もしてないまばたきを、すくなくとも20回くらいはしている。つまり、やはりまばたきをしない演技が必要と判断すればまばたきをしない演技が出来る役者である、という事の証明になっています。
そして観ていて思ったのは、様式美に溢れていて、その様式美の意味も分からない事だらけだ、という事です。
所作一つとっても、靴、じゃない草履を脱ぐにしても、めちゃくちゃに細かな所作、手順があり、作法がある。その中でも最もその意義と動作や立ち振る舞い含むマナーが細かく決まっているのが、茶道です。
この動作が美しくないといけないのですが、皆一様に美しく観れました。もちろん私は茶道について全くの無知蒙昧なので、違うのかも知れませんけれど、知識のない私でも美しく見えました。
それと、当時のそもそも生きてる規範みたいなものが、とは言えキリスト教もなんですけれど、規則規範ルールモラル、あらゆるものに雁字搦めで、大変に厳しい世界に見えました。特に中でも女性は、もうこれ以上は無理、という所で必死に生きていると感じさせるに十分でした・・・
このルール、モラル、規範、規則など、生まれる前に決まっていたモノ、事、に対する順応性、果たして良い事なのでしょうか?これを変えない、順守する、というのと保守、というのは別ですし(保守:伝統、習慣、制度、考え方をむやみに変えないで少しづつ現代に即したモノに変える と個人的には解釈しています)、絶対に何も変えたくない、というのは封建的とか回顧主義とかだと思うのですが、そもそも技術によって常識は変わってしまいますし、何も変えない事など出来ません。
この規範の中で生きるとなると、2025年の現代の 常識 的に考えると非常に窮屈で差別的で厳しい世界に見えますけれど、当時にひとにとっては無論常識ですし、そこから出る事、規範を破る事の意味は大きいんでしょうね。
私は人権があるフランス革命よりも後の世界の方がいいです。
まばたきをする仲代さんが観たい人、女性の戦国末期の生き方を観たい人にオススメ致します。