井の頭歯科

「吶喊」を観ました

2025年11月26日 (水) 09:25
https://www.youtube.com/watch?v=HQRuUHi8VOU
岡本喜八監督     ATG    U-NEXT
2025年公開映画/2025年に観た映画   目標52/120   43/122
追悼・仲代達矢 10
「用心棒」の黒沢明監督、「女が階段をあがる時」の成瀬己喜男監督、「切腹」の小林正樹監督、「炎上」の市川崑監督、「ONIMASA」の五社英雄監督、「永遠の人」の木下恵介監督、「白と黒」の堀川弘道監督、「金環蝕」の山本薩夫監督、その他「野獣暁に死す」のトニーノ・チェルヴィ監督ではマカロニウェスタン、「お吟さま」の田中絹代監督で悲恋モノ、他の監督も様々いらっしゃいます。が、特別、仲代達矢さんの魅力が光る監督あげるのであれば、私は最も輝いているのは岡本喜八監督と組んでいる時だと思います。個人的には最も相性が良い監督です。
そして、巨匠と言われる監督たちの見せる仲代達矢は、それぞれ魅力が違うけれど、その監督が持つ仲代達矢のイメージに近い役を演じられています。それはどれも素晴らしく、確かに仲代達矢さんの魅力のひとつです。ですが、もっと幅広く、もっと意外性があって、その上納得させる、しかも本人も自覚していた面、あだ名をつけた岡本喜八作品が最も輝いて見えますし、他のどの監督とも被らないです。
特に「殺人狂時代」は今の所のベスト作品ですけれど、もう既に何度も観ているので、追悼で一区切りの10本目は「吶喊」で。
炉端に座る老婆が・・・というのが冒頭です。
いつもの、というかよりはっちゃけている岡本喜八監督作品です。
主演が奥州の貧乏百姓で向こう見ずで欲望に真っすぐな千太(伊藤敏孝)と、薩摩出身の密偵っちゃっかり者で先読みの万次郎(岡田裕介)です。奥州訛りと薩摩弁の会話だけで面白く、コンビと言えども単純な結びつきや固い絆などではなく、それぞれが独立した個人でありながら要所要所で結託出来る、そんなバディです。
時代は慶応4年ですから幕末の末期も末期。奥州へ官軍が攻め上ってくる時期です。
脚本も岡本喜八監督自身が書かれているので、恐らく、ですけれど、まぁ明治維新って、確かに凄い事ですし、外様や虐げられた朝廷の一部の積年の恨みを晴らしたイベントとも言えますけれど、結局頭がすげ変わっただけなのでは?とも言えるわけ(手塚治虫先生の「陽だまりの樹」もそうでしたね)で、メタ構造的な視点を感じます。そして岡本喜八監督はそういう人だと思います。そもそもホモサピエンスがそういう生き物とも言える。
だから主人公も非常に下層出身者ですし、時代設定や主人公含むキャラクターたちの心情にも沿いつつ、理屈抜きに、楽しくエンターテイメントしても笑えるように、計算されていると思います。
侍の理想像としては高橋悦史さんがめちゃくちゃにかっこよく、ヒーローなんですけれど、主人公じゃない。うん。
仲代達矢さんは1シーンの出演ですが、まぁ土方の土着感、凄くいいですし、下層出身者が侍になった人、意識的になろうとしてなった人。この部分は三谷幸喜さんの大河ドラマ「新選組!」でも武士になりたくてなった人として近藤勇も描かれてましたけれど、その部分が出ています。
べらんめぇな口調で、江戸っ子的ですけれど、そこに薩摩弁やら奥州訛りなんかが混じって会話が続くの、本当に面白いです。
ただ、楽しいだけのエンターテイメントに終わらせないのが岡本喜八監督。
戦争の無残さも結構描かれていますし、錦の御旗、も意味についても考えさせられる描写あります(「独立愚連隊、西へ」の軍旗の扱いが同じ)。
その上、組織論的に、末端で戦う人に降りかかる、現場の事よりも上の事でしか判断しない組織のある種の悲惨な部分も描かれていていいです。
で、その上での、物語を壊すかのような、あの行進、流石です。
クライマックスも、え~という迫力と、え~という行為の掛け合わせで、ホモサピエンスの動物性も感じられる。
この途中、女性が一回転んでて、その直後の爆発なんで、アレすっごく危険な事だったんじゃないか?と思ったりしました。
で、冒頭の老婆が、まさかの坂本九さん!驚愕!全然分からなかった!!!
主演の2名のバカさ加減とバディ感も良かったですし、流石岡本喜八作品。
幕末が好きな方にオススメします。
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